持つべきものは妙なこだわり

執着はいずれ愛着に変わるのである

読書

『客観性の落とし穴』:個人ストーリー重要性の見直しと、落とし穴の落とし穴

『客観性の落とし穴』著:村上靖彦 を読んだ。 ちくまプリマー文書は平易な言葉で読みやすく入門書として適している。書店で平積みされていたので手に取った。客観性の落とし穴 (ちくまプリマー新書)作者:村上靖彦筑摩書房Amazon病に伴って、自分は「ほんと…

『エッセンシャル思考』とその先の実践

『エッセンシャル思考』(グレッグ・マキューン) を読んだ。長らく「読みたい本リスト」に入っていたところ、『シンプルで合理的な人生設計』(橘玲)でも言及されていたためついに読み始めた。エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする作者:グレッグ・…

多ジャンルノンフィクション指南書としての『シンプルで合理的な人生設計』橘玲

『シンプルで合理的な人生設計』(橘玲)は、多ジャンルのノンフィクション指南書として良い。シンプルで合理的な人生設計作者:橘 玲ダイヤモンド社Amazonメタ自己啓発本つまり様々なジャンルのnon-fictionを搔い摘まんで紹介し繋げている本であるとウェブ記事…

『魚にも自分がわかる』定説を覆す研究者ストーリーが面白い

『魚にも自分がわかる――動物認知研究の最先端』著者:幸田正典、ちくま新書魚にも自分がわかる ――動物認知研究の最先端 (ちくま新書)作者:幸田 正典筑摩書房Amazon認知、認知神経、生物学に興味がある人や、研究者とはどのような方法で新たな学説を唱えてい…

三島由紀夫『命売ります』を読んだ

三島由紀夫の『命売ります』を読んだ。命売ります (ちくま文庫)作者:三島 由紀夫筑摩書房Amazon金閣寺や潮騒とは違う三島が読めると聞いて、読んだ。エンタメ的な雰囲気でスリリングな場面はあるものの、全体及び畳み方は今ひとつだと感じた。終盤、命の危機…

時間変化とドラマチック要望本能を意識して世界を認識しよう:『ファクトフルネス』ハンス・ロスリング

『ファクトフルネス』著:ハンス・ロスリングFACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣作者:ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド日経BPAmazonミリオンセラーであること…

『音楽と数学の交差』それぞれへの興味の扉を再び開けるきっかけになる

『音楽と数学の交差』著・桜井進、坂口博樹音楽と数学の交差作者:進, 桜井,博樹, 坂口大月書店Amazon 平均律・純正律、等比・等差数列、素数などの言葉を聞いたことがあってその関係性に興味があるという人はさらりと読めて面白い本だと思う。そして、数学的…

気候変動問題を技術目線で解決に挑む -- 『地球の未来のため僕が決断したこと』ビル・ゲイツ

『地球の未来のため僕が決断したこと』著:ビル・ゲイツ地球の未来のため僕が決断したこと 気候大災害は防げる作者:ビル ゲイツ早川書房Amazon子供時代に地球環境保護にとても興味があったことを、皮肉にも昨今の気象異常が定常化していることで思い出し、さ…

信頼できる情報をたぐる技術を鍛える -- 『プロ司書の検索術』

【2021/10/01(金) 追記】関連する本ブログの記事を、最後に引用した。 プロ司書の検索術―「本当に欲しかった情報」の見つけ方 図書館サポートフォーラムシリーズ作者:入矢玲子日外アソシエーツAmazon『プロ司書の検索術 -- 「本当に欲しかった情報」の見つけ…

スマホを減らして読書を増やすには、家のあらゆるところに読みかけの本を置く

スマホを減らして読書を増やすには、家のあらゆるところに読みかけの本を置くことが有効なので、実践をお勧めしたい。習慣にしたいことについては何でも、それに取りかかるために必要な準備時間や物理的な動き (コンピュータで言うところのオーバーヘッド*1 …

アウトプットがインプットの質を向上させる『結局、人生はアウトプットで決まる』(著:中島聡)

以前、書店で斜め読みしていたが、図書館ですぐに借りることが出来たので『結局、人生はアウトプットで決まる』(著:中島聡) を再読した。著者は、Windows 95 OS 開発の中枢にいた方である。結局、人生はアウトプットで決まる 自分の価値を最大化する武器と…

図書館は本の試し読みに使うと良い、2週間で読み切る必要はない

最近、図書館を本の試し読みのために利用している。気になる本が出てくる。ウェブの書評、読んだ本の参考文献などで。 コロナウイルス大流行のなか、外出特に屋内に長時間いることは避けたい。 本の雰囲気を見てから買うかどうかを決めたい。こんなとき、地…

いま自然科学で何が面白いのかを知りたい人へ:『生命の根源を見つめる(知のフィールドガイド)』は濃厚な案内板

東京大学教養学部の高校生・大学生向けオムニバス講義 (からいくつかの講義を抜粋) の内容を一冊の本にまとめた第二弾が、『生命の根源を見つめる(知のフィールドガイド)』である。生命の根源を見つめる (知のフィールドガイド)発売日: 2020/05/15メディア: …

『まちの植物のせかい』拡大写真で新たな見方と楽しみ方を知る

出張中の本屋 (これもまた、くまざわ書店の一つ "ACADEMIA") で、テーマと拡大写真が面白そうだと購入した本が良かったので紹介したい。『まちの植物のせかい』著・鈴木純 である。そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい作者:鈴木 純出版社/メーカ…

隙間時間で本を読むために家のあらゆるところと端末に読みかけの本を置いておく

仕事、子供の世話及び遊ぶ時間、運動、睡眠、食事、これらで24時間はほぼ埋まってしまうため、読書のためにまとまった時間を確保するということはとても難しい。5分、10分という一息の隙間時間を使っていくしかない。そこで私が昨年末から実践しているのが、…

『習得への情熱』新しいことに挑戦し、それを極めることに興奮する人へ

『習得への情熱』(著:ジョッシュ・ウェイツキン) を読んだ。チェスチャンピオンから太極拳のチャンピオンへと飛躍の場を変えた人だ。「私が得意なのはチェスでも太極拳でもなく、新しいことを習得することだ」と言っている (原文のとおりではない)。新しい…

ウナギ、サンマの乱獲を憂えてばかりいないで、体系的知識を得たいと思った。『日本の水産資源管理』はデータと歴史背景を丁寧に記した良書

ウナギ稚魚の乱獲やサンマの漁獲高減少のニュースを見て、水産庁の体たらくを憂いてばかりいないで、実際この問題の本質はどういうところにあるのかの体系的知識を得たいと思いました。さすが錦糸町のくまざわ書店である。このような私の要望にも応える本が…

Kindle Fire 7 読み上げからスマートフォンで本を聴き、重要箇所をEvernoteに読書録するまで

勝間和代さんのこの記事にほぼ沿った形で、Kindleの読み上げ結果を音声で聞いて本を読んでいます。 Kindleの読み上げをICレコーダーを使って1度MP3化すると、劇的に使い勝手が良くなることが分かりました - 勝間和代が徹底的にマニアックな話をアップするブ…

『本をつくる』鳥海修ほか:書体、フォントづくりの工程にのめり込む

本をつくる: 書体設計、活版印刷、手製本 職人が手でつくる谷川俊太郎詩集作者: 鳥海修,高岡昌生,美篶堂,永岡綾出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2019/02/15メディア: 単行本この商品を含むブログを見る手に取って開くと、フォントづくりの工程の写真や…

読み上げ専用端末としての Kindle Fire 7 (HDシリーズもおそらく同じ) を買ったらやる初期設定

【この記事は、Kindle Fire 端末の初期設定に範囲を絞っています。読み上げ読書のフローは別記事で】Kindle本を読み上げるため「だけ」に、Kindle Fire 7 を購入しました。2019/05/17時点でKindle本を直接読み上げる機能は Kindle Fire 端末にしかありません…

『驚きの皮膚』傳田光洋(2015) - 分野を越えた科学的アプローチ、筆者の飽くなき人間への興味

驚きの皮膚作者: 傳田光洋出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/07/29メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る物の手触りに必要以上にこだわってしまう自分の性質から、以前から皮膚に対する興味がありました。 またひとつ、自分…

完読よりも重要なのは、その本の位置付け:『読んでいない本について堂々と語る方法』

『読んでいない本について堂々と語る方法』 ピエール・パイヤール 筑摩書房読んでいない本について堂々と語る方法 (ちくま学芸文庫)作者: ピエールバイヤール,Pierre Bayard,大浦康介出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2016/10/06メディア: 文庫この商品を含…

くまざわ書店錦糸町店の品揃えと陳列が私の興味に合っている

くまざわ書店の錦糸町店(アルカキット9階)の品揃え、特集コーナー、平積み、面陳列が、私の興味に合っています。 新聞書評に掲載された本を特集するコーナーが常設してある ソフトウェア、ハードウェア両方の専門書の品揃えが豊富。 自然科学、社会科学の品…

人と人との関係性を社会科学と哲学の枠組みで冷静に捉える:『友だち幻想』菅野仁

友だち幻想 (ちくまプリマー新書)作者: 菅野仁出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/03/06メディア: 新書購入: 12人 クリック: 88回この商品を含むブログ (35件) を見る題名の「友だち」だけでなく、親子関係や先生・生徒の関係といったあらゆる人間関係を…

普段の生活と自分の中にある動かしがたい「感じ」から、人と世の中を考える:『はじめての現象学』竹田青嗣

はじめての現象学作者: 竹田青嗣出版社/メーカー: 海鳥社発売日: 1993/04/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 13回この商品を含むブログ (11件) を見る私にとって、まさに新しい考え方を提示してくれた本です。小説を読むように読める哲学書を書こうと思…

本の面白さとは、自分にとって「新しい何か」を得る・味わうことだと思う

本の面白さとは、本を読んだあとに「ああ面白かった!」となるというのは、一体どういうことなのでしょうか。以下の質問回答にある「自分の思考への刺激」という評価軸に私は賛同します。賛同しますが、もう一歩分解したいのです。 detail.chiebukuro.yahoo.…

未来と他人という、分かり得ないものに向きあうことがエンジニアリング:『エンジニアリング組織論への招待』広木大地

【追記 2018.11.09】 本書の出展、参考文献を調べ公開している人がいないかと検索していたら、目的は達成されなかったものの、自分のamazon 書評が2018.11.09時点でトップコメントになっていました。ありがとうございます。 Amazon.co.jp再読しながら、出展…

検索・調査のコツ: 信頼性の高い情報に辿り着くために

ここ数年間、インターネット上で得たい情報に辿り着くことが非常に難しくなったと感じます。調査力、疑う力が試される時代です。『図書館のプロが教える〈調べるコツ〉(浅野高史)』『知的複眼思考法(苅谷剛彦)』で得た知恵を思い出しつつ、調査・検索のコツ…

私の考え方を作り上げてきた、大事な本リスト:キーワードは「複眼的」「モノサシ」

本の選出理由:「複眼」+「モノサシ」=「教養」 自分に教養を与えてくれた本、という呼び方をするのは簡単です。しかしこれでは何か良さそうな雰囲気を感じるものの、教養とは何を指すのか人によって異なるだろうし、教養という言葉では迫力が足りないと感じ…

読書の効果的な方法は、自分の頭で考えること:『読書について』ショーペンハウアー

書店の平積みを眺めると読書術、多読のすすめ、私はこういう本を読んできた、など読書ハウツー本が多くあります。読書の方法論ばかり読んで肝心の読書をしなくては本末転倒ですが、一つ読むとするならば『読書について』(ショーペンハウアー、鈴木芳子・訳 …