持つべきものは妙なこだわり

執着はいずれ愛着に変わるのである

ミュンヘン 2009.7.31 (2)

 街を歩いていると、見慣れたリンゴのマークが目に入った。もしかすると、と思い入ってみると、やはり無料でインターネットが使える!zとyの位置が入れ替わったドイツ仕様のキーボードに違和感を感じつつも勝手に日本語環境を使えるようにして、久々の高速ネット環境にありがたみを感じずにはいられなかった。真っ先に家族や友達にメールで連絡をとって、facebookに"in Munich!"と記した。あまり冷やかしを長引かせるのも心苦しかったのであまり有用な情報は得られなかったが、生きていることが伝えられたことで十分だった。
 地下鉄に乗って、郊外にあるユースホステルへと向かった。なぜそこを選んだかは忘れてしまったが、ガイドブックに載っていて比較的安くて朝ごはんがついているところにした、自分が考えるのはそんなところだろう。地下鉄の最寄り駅から歩いて宿に向かう途中、道の名前などを確認してきょろきょろしていると、自転車とぶつかりそうになった。スピードを緩めずに近づいてきて、罵声をあげて通り過ぎていった。どうやら、自転車用の通路に立っていたようだ。でも、垣根もないし暗くて気づかないし、何よりも背中にも腹にもリュックを背負ったこの姿はどうみてもアジア人旅行者だ。名勝を傷つけたりする心ない旅行者ならまだしも、このくらいのことは大目にみてくれたっていいのではないか。
 ボストンでも東京でもそうだが、どうも自転車に乗った人間(特に、高そうな自転車のライダー)は、心が狭い気がする。いや、自転車に限らず最近はよく、些細なことで腹を立てて、しなくてよい喧嘩をしたりや怒号をあげたりする人が目に付く。そんなことにエネルギーを使う余裕があるなら、もっと違うことに使えばいいのに、とつくづく感じる。ちょっとこらえて、さっさと家に帰って好きなことをやるのが一番だ。
 そんなことを思いながら、早いうちから眠りについた。