持つべきものは妙なこだわり

執着はいずれ愛着に変わるのである

ザルツブルク Salzburg (1) 2009.8.2-4

 ミュンヘンを朝9:27に発つ急行列車に乗り込み、一気にザルツブルクに向かった。

 天気は良く、そこまで暑くもなかった。けれど相変わらずバックパックは重たいので、まずは宿に向かった。駅から宿へと向かう途中、日本人らしき二人組を見つけた。歩いて行く方向がまったく同じだったので、多分同じ宿に泊まるのだろうなと思った。予約していた宿は、ユースホステル検索サイトのトップに出てくる宿だったからだ(ちなみに、先ほど調べてみてもやはり1位にランキングされていた。Yoho Internationalというところだ)。前の二人を追い越さないようにゆっくり歩き、思ったとおり同じ宿に到着。当然ながら、チェックインするために同じ列に並ぶ。だが、自分からは声をかけない。
 今から考えれば本当に馬鹿らしく、もったいないことなのだが、何故か僕は「日本人とはむやみに喋るまい」としていた。せっかくのヨーロッパだから日本語をしゃべって雰囲気を壊したくないと思っていたのか、はたまた「おれは君たちとはちょっと違うんだ」などという下らなく理論も通っていないプライドを持っていたのか、自分からは日本人には話しかけないことにしていた。今思えば、本当に訳がわからないルールだ。
 さて、チェックインは英語なので自分が日本人だということは前の二人にはばれず(多分顔つきで日本人かどうかは分かっていたと思うけれど)、部屋にでかい荷物だけ放り投げ、必要なものだけ小さいバッグに入れて早速街へと出かけた。

 街はこじんまりとしていてすぐに一周できてしまうくらいだったが、そのこじんまりさが大都市とは違って、良い。ヨーロッパ史には疎いのだけれど、小高い丘の上に要塞が建っており、重要な拠点であったことを教えてくれる。僕がザルツブルクについて知っていたことと言えば、Sound of Musicの舞台であることと、モーツァルトの誕生地であることと、そのモーツァルトを讃えてのザルツブルク音楽祭。そのためにこの街にきたのだ。半年ほど前からコンサートチケットの予約をとって。