持つべきものは妙なこだわり

執着はいずれ愛着に変わるのである

レーゲンスブルク Regensburg 2009.8.1

 少しだけチーズとハムがあって、いつもよりは満足な朝ごはんを食べたあと、必要な荷物だけ小さめのリュックに詰めて中央駅へと向かった。その日は、レーゲンスブルクに向かうことにしていた。
 前日ガイドブックを眺めながら、ノイシュバンシュタイン城に行くかどうかかなり迷ったのだが、日帰りで行くのはなかなかハードであることが分かった。あとから考えると一泊しても十分だったのだが、ミュンヘンの宿に二泊分払ってしまったので、当時その選択肢は頭によぎりさえしなかった。他に良さそうな場所はないかと地図をみたところ、レーゲンスブルク世界遺産に登録されていて美しい街だということなので、そこに行ってみることにしたのだった。
 路線図をみて、直行便がないと判断したので、ローカル線を乗り継いでその古い街へと向かった。実に天気がよくて、窓を開けると気持ち良い風が入ってくる。日本の電車と違って客車にはモーターがついていないので、停車と発車が本当に静かで妙に心地いい。発車のときに、前の車両によいしょと引っ張られる感じがするのが、なんだか面白かった。
 ドナウ川に臨んだ街はきれいで、散歩が楽しかった。大聖堂 Domも、オルガンの新設工事でうるさかったけれど、外から見た姿はなかなかのものだ。でも、ここもまた世界遺産ということで非常に観光地化されていて、生活感というものがあまり感じられない。たぶん、地元の人達は旧市街ではなく新市街か、もうちょっと郊外に住んでいるんだろう。そんな自分も結局ファーストフードで昼ごはんを済ましているのだから、言動不一致このうえないのだが。結局、胸踊るようなワクワク感はあまり得られず、適当にミュンヘンに戻ることにした。
 すると、なんとミュンヘン行きとかかれた電車があるではないか。地図でみると、直通がないのに!とよく見てみると、非常に分かりにくい形で線がかかれている。だまされた、と思ったけれど、だまされたからこそ行きの電車ののどかさを楽しめたのだから、結果オーライというところだ。