持つべきものは妙なこだわり

執着はいずれ愛着に変わるのである

八ヶ岳縦走記録(硫黄岳・横岳・赤岳)(ソロ、テント1泊2日): 転倒と道迷いの反省と知見

年に一度だけは家族から許可をもらっている登山。2017年夏は南八ヶ岳縦走、テント泊をしてきました。

写真では味わえない高度感、空気感を最大限楽しんだ一方で、そこそこの転倒と完全な道迷いを経験しました。記録とともに反省を共有して、みなさんそして自分自身の次の安全な登山につなげたいです。

日程、ルート、タイム

日程

2017年9月3日(日)〜9月4日(月)

山麓までの公共交通機関

駅、手段 到着 出発 所要時間 値段
新宿 - 07:30 - -
↓あずさ3号 - - 02:21 とくだ値
茅野 09:51 10:25 -
↓バス - - 00:35 ¥930
美濃戸口 11:00 - - -
駅、手段 到着 出発 所要時間 値段
清里ハイランドパーク(上) 15:05 15:05 - -
↓スキーリフト - - 00:05 ¥1000
清里ハイランドパーク(下) 15:00 15:10 - -
↓タクシー※ - - 00:10 ¥3200
清里駅 15:20 15:50 - -
小海線 - - 00:22 ¥3348
小淵沢駅 16:12 16:35 - -
↓あずさ26号 - - 02:01 ↓+指定席¥2480
新宿駅 18:36 - - -

※公共交通機関として清里巡回バスがありますが、5分間に合わず1時間40分待ちになってしまいました。ケチな僕としては非常に珍しく即座にタクシーを呼ぶことにしたのですが、そのおかげで小海線にうまく乗り継げたため結果的には良い判断でした。お金で時間を買ったということで、仕方ありません。

山行ルート: 美濃戸口 - 赤岳鉱泉(テント泊) - 南八ヶ岳縦走 - 真教寺尾根 - 清里ハイランドパーク

タイム

地点 到着 出発 実際のタイム [コースタイム]
美濃戸口バス停 11:00 11:16 - -
- - 0:44 []
赤岳山荘 12:00 12:10 - -
- - 1:40 []
赤岳鉱泉 13:50 - - -
地点 到着 出発 実際のタイム [コースタイム]
赤岳鉱泉 - 06:15 - -
- - 01:25 []
硫黄岳 07:40 07:45 - -
- - 01:05 []
横岳 08:50 09:00 - -
- - 01:00 []
赤岳天望荘 10:00 - - -
- - 00:50 []
赤岳 10:50 11:20 - -
- - 03:35 []
賽ノ河原 14:55 - - -

好天に恵まれた(写真3点)

初日は晴天、2日目も曇りとは言えガスには見舞われなかったため良い景色を写真におさめることができました。

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赤岳鉱泉近くの展望台から眺める、南八ヶ岳連峰

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横岳から清里・野辺山を眺める

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横岳から見る赤岳と権現岳。赤岳はかっこいい。

失敗と反省

一歩間違えると、山では死ぬ。今回は反省すべき点が多く、同じ過ちを他の登山愛好者にもしてほしくないため、ここに記します。

失敗と反省その1: 転倒 … 確実な三点支持を徹底しよう

横岳付近の岩場で、かなり派手に転倒しました。

原因は明らかで、三点支持を怠って大きく踏み出した(軽くジャンプもした)からです。タイムも縮めていたので、一種の自信過剰状態でした。日帰り用のザックであれば行けたのかもしれませんが、テント泊の大型ザックを担いでいたせいで重心が思っているより高い場所にあり、身体がグルンと回り転倒。顔・手に擦り傷を負い、いろんな場所を打撲。幸い山行は続けられましたが、「三点支持徹底!」これに限ります。

失敗と反省その2: 道迷い … 悪路なら疑う、人工物に惑わされるな

赤岳頂上から真教寺尾根の鎖場を下っている途中で、ほんとうに「いつの間にか」ルート外に迷い込んでいました。

原因は2点あったのだと振り返っています。

一つ。八ヶ岳最難関ルートと言われる真教寺尾根の鎖場は、重い大きなザックを背負っているとかなり難しかったです。下るのに時間がかかり、その若干の焦りのために地図と遠方を確認せずに進んでいました

二つ。正規ルートではない道の先にペットボトルのゴミがあったために「ここは人が通った道だ」と思い込んでしまいました。誤った道は足場がすぐ崩れてしまうような悪路で、そんな道は正規の登山ルートでないと気付くべきところなのですが、人間の思い込みの激しさは恐ろしいもので、頭をよぎりもしませんでした。ペットボトルは誰かが落としたか、その人も迷ったのかのいずれかでしょう。

地図を見て、迷い込んだのは涸れた沢だと分かりました。正規ルートは下りを向いて左、方角だと北。左を向くと、同じく迷った人が通った跡なのか、植物の間に土が見えている細い道がありました。道に迷った場合は元来た道を戻るのが鉄則ですが、悪路を下って来たため荷物を担いで登るのは非常に困難に思えました。そこで私は、谷線から尾根線に向かって山を横切る決断をしました。30メートルほど順調に進んだ先で、大きなハイマツに遮られました。

どうする…無理やり越えてもその先に道が無かったら…。

このハイマツだけを無理やり越え、ルートに戻れなかったら元来た道を頑張って登ろうと決断しました。枝の合間をなんとか潜(くぐ)っていたそのときの心境は、かなり切迫したものでした。結果的に、潜ったちょうどその先が正規ルートでした。しかし果たして、今反省するに、トラバースしたあの選択は正しかったのでしょうか。元の道に戻れたから良いものの、やはり迷う前の道までUターンするのが正解だったと思います。道迷いの怖さを体験しました。

実は赤岳山頂から真教寺尾根に分岐をするところでも何度かルートを間違え、戻っていました。そのときは冷静に判断できていて、今でも山頂付近の分岐表示と「山と高原地図」が分かりにくいことに原因があると考えています。原因は何であれ、道迷いは時間に余裕があろうとなかろうと、下りで発生するということを改めて肝に銘じるべきだということです。

得られた知見

失敗体験を含め、今回の山行から得た知見は以下の3つ。

平日ソロ山行は空いているが、よりリスク管理能力が必要

平日、さらにマイナールートとなると登山者は少ないです。転倒や迷ったときに戻るのか、留まるのか。そういうときの予備の水、食事、防寒具はどうするのか。メンバーと天気の両方の都合を合わせるのは難しい社会人にとってソロ山行は魅力的な選択ですが、リスクを伴うのだと考えるべきでしょう。(複数で登る場合は別の種類のリスクが発生するので、どちらが良いとは言いにくい)

荷物軽量化の重要性

山に何をどれだけ持っていくかは「あったほうが安全安心」と「省いたほうが行動が早くなって結果的に安全」というバランスなのだと感じました。次の山行に向けて、徹底的に軽量化します(別記事で書きます)。

一方で「自分にとっての楽しみ」を省略しては意味がない

みなさんは登山にどのような楽しみを求めているのでしょうか。

  • できるだけ多くのピークハント(登頂)
  • 写真
  • ご飯
  • コーヒー
  • 温泉

今回は下山後の温泉をあきらめました。テント場でコーヒーを飲みたいといつも思いつつも、軽量化のためにあきらめていました。しかし、この二つは自分にとって欠かしてはならないものだということを体感しました。疲れるために山に登っているのではなく、行って帰ってくる全行程を楽しまなければもったいない!時間と重さをかけるモノ・コトを自分のテーマにあわせて配分することが大事なのですね。

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