持つべきものは妙なこだわり

執着もいずれ愛着に変わる

「至難の技」ではなく「至難の業」が適切:「業」は能力、「技」は特定の技術

 「至難の業(わざ)」が正しく「至難の技」は誤りであるはずですが、後者で使用している例が多く目にするため自信が揺らぎました。インターネット上で可能な範囲で調べました。

 まず、Google予測変換では「技」が上位に表示されます(2017.10.07現在)。正しさはともかく、「技」の使用例と検索数が多いことを物語っています。次に、goo辞書・三省堂ウェブディクショナリーは両者ともに「わざ」と平仮名表記しています。「業」「技」どちらでもないということでしょうか。
dictionary.goo.ne.jp
三省堂 Web Dictionary

 日本語の権威として何を採用するかは難しいのですが、今回は以下の日本語検定委員会の解釈が最も納得のいくものであったため、ここに引用します。

「技」は、修練によって身につく技術や方法の意で、特に工芸や格闘技に用いることが多い。「業」は、その者の能力の範囲でできることという意で用いられる。以下に「『異字同訓』の漢字の用法」(国語審議会漢字部会作成 昭和47年第80回国語審議会総会参考資料)に示されている用例を掲げる。
①業…至難の業。離れ業。軽業。業師。
②技…柔道の技。技をみがく。

引用元:
きょうの日本語検定:時事ドットコム
(何故か、不正解回答のページしか検索で表示されませんでした)

 「心技体」の技は、修練で身につく技術を指しているというのは納得できます。一方、名刀や名曲を指す「業物」という言葉もあり、工芸品であるために上記説明とは一致しません。
 日本語は時代とともに標準が変わっていくものなので何が正しいと決定するのは困難ですが、「至難の業」と書いて誤りだと指摘されることはほとんど無いと言えるでしょう。私はこれからも「業」で表記します。