カメラの露出、絞り値(F値)、シャッタースピードの関係を知ってイメージどおりの写真を撮る
カメラを少し使いこなせるようになると、絞りを開いて背景をボケさせたり、シャッタースピードを変えて噴水を糸のようにしたりすると思います。ある程度までは優秀なカメラが頑張ってくれますが、カメラの自動機能が追いつかない状況があります。そういうときに思ったとおりの写真を撮るためには、露出・絞り値(F値)・シャッタースピードの関係を知らなくてはいけません。ISO感度も重要な要素ですが、ここでは一旦横に置いておきましょう。
誰にでも誤解がないように分かりやすく、と書き始めましたがどうしても数学的な表現を使わずには正確に書けませんでした。毛嫌いせずに読んでいただけたら嬉しいです。
露出・絞り値(F値)・シャッタースピードの関係
露出・絞り値(F値)・シャッタースピードをそれぞれ簡単に表現すると次の表になります。
項目 | 記号*1 | 意味するところ | 明るくするには |
---|---|---|---|
露出 | E | センサーに当たる光の量、つまり写真の明るさ | 大 |
絞り値(F値) | F | 光の通り道の「狭さ*2」 | 小 |
シャッタースピード | T | 光の通り道を開けている時間 | 大 |
この3つはお互いに関係していて、露出は絞り値の2乗に反比例し、シャッタースピードに比例します。あえて数式で書くなら次のようになります(数式は読み飛ばしても大丈夫です)。
あるいは c を定数として
絞りの値は何を意味するのか
シャッタースピードとの関係は直感的でしょう。一方、「露出は絞り値の2乗に反比例する」という表現はとっつきにくいものの最も誤解がないと僕は主張したいのですが、数学的表現を嫌ってなのかカメラ業界では「絞りを1段上げると露出は1段下がる」のような言い方をします。
絞り値は「光の通り道の断面(円)の半径の逆数*3」と考えると、「2乗」が出て来るのも分かるのではないでしょうか。面積は半径の2乗に比例するからです。
そしてここまで来ると、カメラで設定できるF値がなんだか中途半端な数字である理由も分かってきます。
カメラ設定の値 | F1.4 | F2 | F2.8 | F4 | F5.6 | F8 | F11 | F16 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
「正確」な値 | F | F | F | F | F | F | F | F |
絞り値を「1段下げる(1段開く)」は、半径を倍することであり、面積を2倍にすることなのです。すると光の量は2倍になり、露出は「1段上がる」ということです。
このように考えると、例えば以下のような組み合わせはすべて(ほぼ)同じ露出になることが分かると思います。
絞り値 | F1.4 | F2 | F2.8 | F4 | F5.6 | F8 | F11 | F16 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
シャッタースピード | 1/2000 | 1/1000 | 1/500 | 1/250 | 1/125 | 1/60 | 1/30 | 1/15 |
カメラの撮影モードが何をやっているか分かってくる
ここまで来るとさらに、カメラの「絞り優先モード(A/Av)」「シャッター優先モード(S/Tv)」「マニュアルモード(M)」は何をしているかが分かってきます。
モード名称 | あなたが設定するもの | カメラが自動的に計算するもの |
---|---|---|
絞り優先モード(A/Av) | 露出, 絞り値 | シャッタースピード |
シャッター優先モード(S/Tv) | 露出, シャッタースピード | 絞り値 |
マニュアルモード(M) | 絞り値, シャッタースピード | - |
【注意】実際は、これにISO感度設定が加わります。
普段は優先モードを使うと思いますが、極端に明るい・暗い場所、速い動きのもの、滝、といった難しい状況ではマニュアルモードが活躍します。そのとき、露出・絞り・シャッタースピードの関係を分かっていると何をどう調整すべきか考えやすいです。
納得する写真を撮って楽しみましょう!
参考になるサイト
Nikonのサイトはイラストもあって分かりやすいです。やはり2乗に反比例する、という説明は出てきません(悪いと言っているわけではないですが)。
特に本記事と関係が深いのは次の2ページです。
デジタル一眼レフカメラの基礎知識 - 露出 | Enjoyニコン | ニコンイメージング
デジタル一眼レフカメラの基礎知識 - 露出 | Enjoyニコン | ニコンイメージング
なお、私のカメラはキヤノン (Canon) です。
写真の色合いはキヤノンが好きですが、シャッターの音はニコンに軍配が上がる、というのが私の意見です。
関連記事
写真は印刷して初めて完成するものだと私は思います。印刷するのが最も強力なバックアップでもあります。
印刷の際の色合わせについて、以下の記事で書いています。
covacova.hatenablog.com