「佳境に入る(いる・はいる)」という表現、ややもすると「とても忙しくなる」という意味で使いがちです。
- ◯◯プロジェクトが佳境に入っているなかお手数ですが、〜〜の手続きをお願いします。
様々なレファレンスに当たりました(この記事の後半に記載)が、この用法は不適切と言わざるを得ません。元来「佳」という文字が「よい」という意味を持っていることからも類推できるように、「面白くなる」というポジティブな意味を持つ言葉なのです。
では「とても忙しい」を格好良く表現したいというニーズに応える言葉は無いのかというと、以下が候補になりそうです。「きりきり舞い」なんて、粋な日本語じゃないですか。
「忙しい」の類語
- 繁用
- 目が回るよう
- てんてこ舞い
- きりきり舞い
出典: 新明解類語辞典(第一刷)
「佳境」の意味について、レファレンスを当たった
唯一「goo辞書」で補説として、「最盛期にさしかかる」意で使われ出していることに言及しています。
かきょう【佳境】
物事が進行しておもしろくなった所。「話がーーに入る(いる)」
出典: 新明解国語辞典(第四版)
佳境(かきょう)に入(はい)・る
物語・演劇などが、興味深い場面にさしかかる。佳境を迎える。「推理ドラマもいよいよ―・り、真相が明かされようとしている」
[補説]近年、「ナシの出荷が佳境に入る」のように、ある状況が頂点・最盛期にさしかかる意でも多く用いられる。
出典: goo辞書
かきょう [佳境]
いちばんよいところ. ▼話が~に入る
出典: 三省堂 Web Dictionary
かきょう【佳境】
(1) 興味を感じさせる場面。「話がーーに入る」
(2) 景色のよい所。「県内随一のーー」
出典: 大辞泉(第一版)