持つべきものは妙なこだわり

変なところにこだわってこそ、世界が面白く見えるよね

『鏡の中の物理学』(朝永振一郎) で素粒子の不思議さに触れる

『鏡の中の物理学』 著:朝永振一郎講談社学術文庫 を読んだ。

縁あって身近になった東京大学の生協書籍部 (本屋さん) で学生向けに推薦されていた「読書マラソン100冊」だったかの中に入っていたのがきっかけだった。
物理を専門とはしていないけれど興味がある人、「素粒子」や「対称性」という言葉に興味をそそられる人にはオススメしたい、120ページの薄いながらも中身が詰まった良書だと思う。

「光子の裁判」という語り口に引き込まれる

本書の中でも特に印象に残ったのは、「光子の裁判」という章である。これはAmazonのコメント書評などでもみなが口を揃えてかいているところだ。
光子は波としての性質を持ちながらも、粒子でもあるという不思議な存在。その不思議さを“裁判”という擬人化したストーリー形式で描き、光子がどのようにふるまうのかを説明してくれるので、読み物としてもおもしろい。

この光子の振る舞いを、浜松フォトニクスがYouTube動画で紹介してくれている。『量子力学多世界解釈』で紹介されていた動画で、「ほんとうにこうなるんだ!」「こういう実験ができるんだ!」とビックリしたのでぜひ見てほしい。1981年に撮影されている動画であるということで、二度ビックリである。


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素粒子は粒子であるか?という問いかけ

「光子の裁判」に続いて読んだ「素粒子は粒子であるか?」という章。 たった20ページほどの短い章で、素粒子は身近な米粒のような粒とは異なることとその性質をなるべく簡単に説明してくれる。素粒子は1つ・2つと数えられるけれども、太郎・次郎という風に個々を識別することはできない、というのは知らなかった。その説明の仕方も、身近で分かり易い。

その現象は、鏡の中でも見ても成り立つのか?

本のタイトルにもなっている第1章「鏡の中の物理学」では物理の世界における“対称性”がテーマとして取り上げられている。左右(空間)をひっくり返す -> 時間をひっくり返す -> 粒子の性質をひっくり返す、という風にひっくり返す「軸」を増やしていくと、この世界は対称的と説明できる現象が広がっていく... ということだと受け取った。

この章は他の2つよりも入り込むのが難しい印象だった。読む順番として、後ろから(光子と素粒子の話)読むと入りやすいかもしれない。

おわりに

ノーベル物理学賞の受賞者は、どのような文体で物理を語るのか。そういう興味で読んでみても面白い。難しすぎず、かといって浅すぎない。そして、本全体で120ページと短い。バランスが絶妙な一冊。