『もっと学びたい!と大人になって思ったら』(著:伊藤賀一、ちくまプリマー新書) を読んだ。
ちくまプリマー新書は、難しすぎず、それでいて骨のある知的好奇心をくすぐるラインナップが特徴だ。これまでも『西洋美術史入門』(池上英洋)『友だち幻想』(菅野仁) などで、ちょっと難しいそうな分野への入門として信頼してきたシリーズである。
今回は「大人の学び直し」をテーマにしたこの一冊を手に取った。自分には昔から大学で学び直したいという気持ちがある一方で、どこに・どうやって・いつ、という具体的なことは考えてこなかった。しかし、転職と同じように、「落ち着いてから」などということは永遠に訪れず、むしろ忙しすぎるときのほうが具体的な行動に移しやすい。次の転職?先として大学を選ぶかは決めていないが、それでもこの本を読んだことでその方向性の具体的なイメージを持てたことは有用だった。
著者の実体験がもたらす説得力
読み進めてすぐに引き込まれたのは、著者・伊藤賀一さん自身のリアルな経験だ。著者は予備校教師として働きながら、何度も大学生活を経験しているという。実際にやってきた人の経験談は説得力がちがう。
一般論ではなく、どこの大学・学部のどんな制度を利用し、どうやって通ったのか、実際の生活とどう両立させたのか --- そうした具体的な記述は明瞭度が高い。
学び直しは大学院だけじゃない
自分にとっての新しい発見は「学び直し=大学院」という固定観念が崩れたことである。大学院は専門的な研究を深める場所である一方、大学の学部ならばもっと幅広い分野に触れることができる。自分のような「生物学も、コンピュータサイエンスも、哲学も興味あるなあ」というタイプは、むしろ学部の方が向いていると気づかされた。
また、放送大学などの通信制は一見ハードルが低そうに見えるが、実際はかなりガチで難易度が高いらしい。逆に、一般的な昼間の大学の方が卒業支援が充実しているという視点も新鮮だった。物理的に大学に行かざるを得ないことも、逆説的だが、卒業に向けた単位取得に時間・身体・頭を割くことにポジティブに働くのだろうと思う。
読書習慣をもう一度
大学にすぐ出願するまでは腰が挙がらなかったが、再び読書の習慣と感想を残す習慣を復活させようと思った。そうしてこの記録を書いている。しかし、三宅香帆さんが書くように、働いているとほんとうに本が読めなくなる。スマホを手にとる10回に1回は本に置き換えて1ページでも読むようにして、新しい分野や知識へ踏み出すきっかけとなる「ノイズ」を受け取れるようにアンテナを張って、将来大学での学び直しの土台としたい。
