持つべきものは妙なこだわり

執着はいずれ愛着に変わるのである

ケベック2日目〜走れクルマ〜

 すがすがしい朝を迎えた2日目はかわいらしい犬と戯れつつの美味しい朝食ののち、モン・モランシーの滝へ。滝壺がほとんど凍っているおかげあって、下から滝を見上げることができ、なかなかの迫力。滝の凍った部分でアイスクライミングをしている人もおり、北国に来ているのだと実感。そしてスキー場へと向かいました。
 さて、ここからですよ。
 主要道路の一本向こうにある王の道と呼ばれる昔からの街道を自分が運転していたら、ガソリンがそろそろ心配になってメーターはどうかなあ、とメーターを見たらぱっと見どれがガソリンメーターか分からないわけです。えーとどれだ、
「前見て!!」
 ずごーーーーん
 はい、雪の中突っ込みましたあ。やってもうた。しかしくねくねした道で速度も大して出てなかったのでハンドルきる余裕はあり、オフセット衝突気味のかすり傷がチラリとついただけで済みました。チラリズム重要ですよね。しかしメロスは激怒したので、そんな邪知暴虐の王の道はもううんざりして主要道路に乗ってちょっとスピードを出すと、
    ぷるぷるぷるぷるぷる
 とステアリングが震えるではないですか。なるほど激怒したのはメロスではなくクルマであったか。しかも席も上下微振動しているんですが。な、なんじゃこりゃあああぁあぁぁあ!間違いなくおれのせいやああ!とセリヌンティウス並みの絶望感に押しつぶされものすごく口数が減り申し上げました。ガソリンスタンドに入り、ホイールを確認。するとホイールキャップの中に大量の雪が。
「こここれですね、これで励振しちゃってるんですよ」
といかにもそれっぽい理屈をつけて自らを納得させる。ついでに残り少なくなっているガソリンを入れようとするが、レンタカー会社の支給したガソリン専用クレジットカードが使用不可(ガソリン代は払わなくていいシステムになっております)。まあ、これで振動なおるならなんとかなるだろう、って、
 なおってねえw
 むしろ血気盛んに震えておりますよこの車。
「これは一回市内に帰ろう」
 と姉御Nが英断。すまん!スキーすべりたかっただろうに。とぷるぷるした席のうえで畏まる自分。なお悪いことにガソリンもモウナイヨメーターが点灯し、万事休すというやつですかこれは。仕方ないので自腹でガソリン5リッター注入。あとはこいつが空中ならぬ道中分解しないことを祈るだけ。遅いときは振動しないから、
「もしかしたら40マイル付近が危険速度でそれを超えれば安全かもしれない」
ということでエンジンめっちゃふかしました。
  アリ?
 まったく振動しないではアーリマセンカ。どの速度で走ってもダイジョウブ。
「も、もしかして単なるガス欠!?」
  なんじゃそりゃぁぁぁああああ!おれの罪悪感を返せ。
「じゃスキー行こう!」
 姉御Nの判断は切り替えも早いのです。2度目のUターン。
(つづく)