持つべきものは妙なこだわり

執着はいずれ愛着に変わるのである

豊かな副詞表現、本来と近年の使われ方

【2021/01/13(水) 追記】「さして [〜ない]」を追加。



日本語の副詞は表現を豊かにしてくれるが、(まさに)ややもすると誤用しがちだ。一方で、言葉はより一般に受け入れられている意味がその時代における意味でもあるから、扱いが難しい。
そんな副詞に出会ったら、辞書をひいて(辞書に書いてある程度での)本来の意味と、インターネットで検索して近年の用法を確かめることにしている。

辞書は新明解国語事典(第4版)を基本として、goo辞書を参照することもある。
下表はあくまでも筆者個人の対応表と理解していただいたうえで参照いただきたい。例えば用例は新明解を参照しつつ、自分が使うであろう文に改めていたり作っていたりする。
Evernote で個人用に持っていたが、ここに公開したうえで、適宜更新していくつもりだ。

表現 本来の意味 近年の用法 用例
ひとえに (偏に) (1) まったくもって。他の理由を排除することを示す。
(2) 純粋にその行為に徹すること。ただただ、ひたすらに。
- この成功はひとえに君たちの努力によるものだ。
ややもすると/すれば (動もすると/すれば) とかく何何しがちである、する傾向にある - 夏の熱帯夜はややもすると睡眠不足に陥りがちだ。
おうおうにして(往々にして) よくある、しょっちゅうある (おうおにして、おおにして、などと間違われることがある) -
やおら、やをら 落ち着いてゆっくりと すぐに、素早く 彼はやおら腰をあげた。
いみじくも 表現が適切であること。巧みに。まさしく、適切に。 - あなたの言葉がいみじくも言い表している。
けだし (蓋し) 次に述べる内容は十中八九まちがいないだろうという、主体の見込みを表す。おそらく。(私が)思うに。確かに。 - けだし(=思うに)彼が適任者と言うべきだろう。
けだし(=たしかに)名言だ。
すべからく (須く) 〜べし 当然〜すべきだ。ぜひとも〜すべきだ。 全て、皆 すべからく改善すべし。
なまじ、なまじっか (1) 十分な成果が期待できないのい、何かをあえてすること。つい。無理に。
(2) それで十分だと言える状態には達していないこと。中途半端に。
- (1) なまじ口を出したのが悪かった。
(2) なまじ知っているから困る。
むげに (無碍に) まったく顧みずに。むやみに (前後の考えなしに)。 - 無碍に断るわけにはいかない。無碍にする (= 捨てて顧みない態度をとる)
さして[〜ない] 特に違うところがない。さほど。 - さして暑くはない。さして付け加えることは無い。