持つべきものは妙なこだわり

執着はいずれ愛着に変わるのである

多ジャンルノンフィクション指南書としての『シンプルで合理的な人生設計』橘玲

『シンプルで合理的な人生設計』(橘玲)は、多ジャンルのノンフィクション指南書として良い。

メタ自己啓発本つまり様々なジャンルのnon-fictionを搔い摘まんで紹介し繋げている本であるとウェブ記事で読んだので、「次に読む本」のヒントを得るために手にとった。

仕事で「時間が無い」強迫観念に追われるなか、学会参加でひとときの「非日常」を味わい、少しだけ意識が外・新しいことに向き、読書の意欲が湧いたタイミングと合致した。学会の行き帰りの電車のなかでほとんどを読んだ。

得られた知識、納得した点で TOP 3 を挙げるとしたら以下だ。

  • 人は、何かを選択することに非常に大きなエネルギーを用いる。常に選択を迫られているだけで、脳は疲弊してしまう。
  • 人間関係の維持には大きなコストがかかる (親密な関係の維持には、自分の時間を多くかける必要がある)。それ故に、最も親密な関係を維持できるのは家族も含めて5人である。
  • 精神的な不調は、自分にとって重要な価値をおいていた領域が毀損したときに発生する。たいして価値をおいていない領域が損傷しても影響しない。

「旅(次に読む本)のしおり」として期待していた内容は満足した。しかし、広い範囲の内容を取り扱っているのでまとまりがない・話題が散逸しがちだとも感じた。「合理的な人生設計」というタイトルから想起される内容にはあまり期待しないほうが良いと思う。

この本を読み、なるべく「選択を迫られる状況」を減らすことを始めている。
たとえば、仕事のカレンダー(予定表)だ。しょっちゅうダブルブッキングが起きるわけだが、「どういう会議が行われているか知っておく」ために予定を削除していないでいると、予定表を見るために「自分はどちらに出席すべきか」と脳が反射的に考え始めてしまう。決断して捨てたものは目に入らないようにする (カレンダーから削除する) と、選択から一度は解放される。効果も感じている。

次は、参照されていた書籍で興味を引いたものを読んでいく。読み始めているのは例えば次の本だ。

  • 『いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学』(ムッライナタン、シャフィール)
  • 『ネットワーク科学が解明した成功者の法則』