持つべきものは妙なこだわり

執着はいずれ愛着に変わるのである

麻布テーラーでオーダースーツを作った。オシャレとは結局「サイズが合う」ことではないか

オシャレとは何かを語れるほどオシャレではないのですが、私は「サイズが合っている」ことさえ守れば一定以上にオシャレに見えると考えています。それくらい、世の中には自分にぴったりサイズが合う服を見つけることが難しいと感じます。スーツとシャツはサイズ探しが難しい服の代表ではないでしょうか。

転職前も後もスーツはほとんど着ません。だからこそ、スーツは一着だけ、きちんと自分のサイズに合うものを仕立てたほうが良いと考え、麻布テーラー(azabu tailor)二子玉川店でスーツを作りました。出来上がりはとても気に入っています。自分にサイズが合うというのは、それだけで気持ちいいものです。他に所有しているスーツは、自分の体系が変わった(痩せた)ことによる部分はあるものの、大きすぎて明らかにダサく、着ていて心地が悪かったのです。

www.azabutailor.com

夏はクールビズ上着を着る機会は少ないので、夏以外のスリーシーズン用の生地を選んだところ、税込み54,000円でした。「37,000円+税」という値段は、最も安い生地を選んだ場合の価格です。

ウェブサイトではわかりにくい点をお伝えします。少しでも助けになればと思います。

  • モデルの差は、当日実物をみて説明を受けてもよく分からない。一着目ということで、麻布テーラーのスタンダードである「ジェットクルーズ jet cruise」を勧めてもらった
    • 私が注文に行く前の状態よりも若干、ウェブサイトの説明が丁寧になっているものの、やはり差は分からない。
  • 平日に行くと、すいている。1時間以上、ゆっくり時間がとれる日に伺うべし。
  • 生地選びでは完成をイメージすることが難しい。事前にスーツの画像をたくさん観て、それに似たのを選ぶやり方が良いかもしれない。
  • 完成までには2ヶ月くらいかかると考えておく。

普段の生活と自分の中にある動かしがたい「感じ」から、人と世の中を考える:『はじめての現象学』竹田青嗣

はじめての現象学

はじめての現象学

私にとって、まさに新しい考え方を提示してくれた本です。

小説を読むように読める哲学書を書こうと思ったとあとがきにあるとおり、平易な言葉で書かれています。フッサールハイデガーの考え方を中心として、竹田青嗣さん自身の考え方も展開します。哲学の知識はほとんど必要ありませんが、しっかりと理解し納得するにはそれなりの集中力と反復読書が必要でした。

この本の内容をまとめられるほど現象学竹田青嗣さんの考え方に及んでいるわけでは到底ありません。一つだけ紹介するとすれば、私自身がとても腑に落ちた、「〜〜すべきという理想像をかかげて人間を捉えようとするのではなく、私たち自身が生活の中で自然と感じていることや感じていることを基に考える」というやり方で哲学が展開されていくことです。

人、自分、世界を違う目で見ることができるようになる、素晴らしい本でした。何度も読むことになるでしょう。

新しい考え方 ★★★★★5
新しい知識体系 ★★★★★5
新しい文章技術 ☆☆☆☆☆0
新しいドキドキ ☆☆☆☆☆0

関連書籍

哲学とはなんだろうと興味をもった方には、以下の『哲学のモノサシ(西研・著)』『自分を知るための哲学入門(竹田青嗣・著)』を先に読まれる方がとっつきやすいと思います。

哲学のモノサシ

哲学のモノサシ

自分を知るための哲学入門 (ちくま学芸文庫)

自分を知るための哲学入門 (ちくま学芸文庫)

山本昌さんの講演(2017年秋)でメモした金言を共有する

今日(2018年5月30日)、山本昌さんが紹介されている記事を読みました。

sportiva.shueisha.co.jp

私は野球はやらないし観戦もしませんが、山本昌さんのことはたまたま観たNHK「プロフェッショナル」で、「心技体のどれが一番大事だと思いますか」という問いに対して

「体」ですね。心と技術は自分でなんとかできる。体だけは、抗えないものがある。
(注:原文どおりではない)

とおっしゃっていたのを鮮明に覚えていました。心か技と答えると思っていたのでとても意外でしたが、『インナーゲーム』などで「身体化した自分」という考え方を知っている今となってはとても納得の行くお答えです。
そんなこともあって、山本昌さんの講演を聴く機会を知った際に都合をつけて真剣に聴講しました。私だけにとどめておくのは勿体ないので、半年前のメモを共有します。

  • これだけやって、こんなにもらえるのか。もっと頑張ろうじゃないか、と思った。(契約更改で給与が3倍になった際に思ったこと)
  • 緊張から逃げてはいけない。大事なことだから緊張する。緊張するから力を出せる。
  • 良い緊張を得るためには、しっかり準備する、これしかない。
  • 若い同僚にはこう言ってきた。「無駄だと思う練習も、まずはやってみろ。その代わり、お前たちがやっている練習もきかせてくれ。」
  • 若い同僚にはこうも言ってきた。「時間は思ったほどないぞ。」
  • モチベーションが出てこないんです、という相談にはこう答えている。「あなたの努力が足りていないんじゃないですか。」
  • 今が、人生で一番若い。

勉強する意味を子供に問われたときのために

「勉強はなんのためにするの?」と自分の子供に問われたときのために、今のところ次の答えを用意しています。

  • 将来、君が何かをやりたいと思ったときに、それを実現する最初の一歩を踏み出しやすくするため
    • この観点では、運動能力を伸ばしておくのも同じくらい必要だ
  • 将来何をやりたいか分からない時期に、世界にはこんな分野もあるんだと知り、自分が熱中する分野に出会う可能性を少しでも高めるため
  • 分からなかったことを分かる、知らなかったことを知る喜びそのものを味わうため

本の面白さとは、自分にとって「新しい何か」を得る・味わうことだと思う

本の面白さとは、本を読んだあとに「ああ面白かった!」となるというのは、一体どういうことなのでしょうか。

以下の質問回答にある「自分の思考への刺激」という評価軸に私は賛同します。賛同しますが、もう一歩分解したいのです。
detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

精神的な「刺激」とは何かを考えてみると、「今まで経験していなかったこと」と言い換えられる感じがします。つまり自分にとって新しいということ。本が面白かったときに感じる「新しさ」について自分の過去の読書体験を思い出すと、以下に分けられる感じがします。

  • 新しい考え方:今まで見た・知っていたものに対して、新しい視点を与えてくれた。「知識体系」と比較して、より生活に寄り添っていたり既知の分野に対して得られる刺激。
  • 新しい知識体系:今まで知らなかった分野を教えてくれた。「考え方」と比較して、そもそも世の中にそんな分野があったことを知らなかった、という読書体験。
  • 新しい文章技術:今までの読書では表れなかった、文章を書く技術・表現。映像や実体験ではなく読書(特に小説)特有の感動。
  • 新しいドキドキ:今まで経験してこなかった、新しい胸のドキドキ。語られる物語から得られる、理屈抜きでの感情。

「感じがします」とわざわざ書いているのは、自分の心でそういう感じがするというのが唯一の根拠であり、他の方々に適用できるかどうか全く分からないからです。しかし、このブログで読書録を記事にするときに、ただ「この本は面白いよ!」だとあまりにも稚拙だし伝えたいことが伝わらないでしょう。ほんの少しでも伝わるものが増えれば幸いという思いで、今後の読書記事ではこれらの「面白さ」のどれにあたっているのかを書き残すことにします。