持つべきものは妙なこだわり

執着はいずれ愛着に変わるのである

新型コロナウイルス水際対策体験談:羽田空港編 (海外から日本に2021年3月5日に帰国の場合)

まえがき

この連続記事は、2021年3月5日に羽田空港に帰着する少し前の機内から、自主隔離期間中の私個人の経験を示そうとしたものである。事実と意見をともに書きながら、両者を区別することに注意したつもりだ。

1つの記事にするつもりだったが長編になったため、まず羽田空港として書き起こした。

2021年3月6日づけで水際対策の抜本的強化が閣議了解されている (下記リンク参照)。しかし、厚生労働省ウェブサイトでは、それ以前に私が確認してきた内容と変わっていないように見える*1。これは個人の曖昧な記憶に頼った見解であるから100%信用できるものではない。一方、事実として、3月6日付けで強化されたことを (その前日に帰国した) 私に通知し、追加の行動制限を要請するような電話やLINEメッセージは届いていない。

この背景も踏まえ、いまの「水際対策の抜本的強化状態」でも意味のある経験談だと信じ、書き起こしたものである。

羽田空港での水際対策経験談 2021年3月5日

飛行機内

帰国直前の機内で、2枚綴じの書類が2セット配られる*2。「誓約書」と「健康カード」と呼ばれるものである (羽田空港職員の方が、そう呼んでいた)。14日間の隔離でどのような行動が要請されるのか予想はしていたが、改めて丁寧に熟読した。スマートフォンを所有していることが前提となっていることに、私は驚くとともに違和感を感じたスマートフォンを所有の人はAという方法、所有していない人はBという方法を採用する、と書かれているならまだしも、Aの方法しか書かれていない。スマートフォンは持っていてもLINEアプリをインストールしていない、できない人はどうなのだろうか?外国人用の書類が気になったが、さすがに見せてもらうまでの行動は取らなかった。

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機内で配られた「誓約書」と「健康カード」

疑問を感じつつも、記入を求められた箇所は記入し、用紙を持って飛行機を降りた。

羽田空港帰着後

平常時であれば入国審査に向かうところ、まず検疫に向かうようにルートが設定されている。最初は分からないのだが、最終的には (発着便が少ないがために広大に使えるようになっている) 空港構内を長距離に渡って歩き回ることになる。各検査所の間がやたらに距離があるのだ。高齢者や脚が不自由な人にはとてもつらいだろう。

正確に記憶していないが、確か以下の内容だった。順番の逆転や、内容が抜けているところはあるかもしれない。

なお、最後の待合場所以外は、写真・動画の撮影禁止の張り紙が出されていたため、この記事には写真が少ない。空港職員や、帰国者の顔が写る可能性もあるし、それがどうネットに公開されてどう使われるかも分からないからだろうと推測している。

ウェブサイトの Q&A アンケートを記入するように促される

書類を書いたのにウェブアンケートもやるの?と思ったし実際口に出してしまった。看板に印刷されているQRコードスマホで読み取って行き着くウェブサイトで、アンケートを記入した。症状はどうか、どこの国にいたか、滞在先はどこか、という内容だった。これもまたスマホだよりだが、持っていない人用のパソコンは用意されていた (パソコンのエリアには立ち入らなかったが)。

アンケートにすべて答えると、QRコードが表示される。間違って戻るボタンなどを押すと大変だと思い、スクリーンショットを撮っておいた。このような作業に慣れていない人がいると思うと、自分事でないのにヒヤヒヤする思いだった

海外出国前PCR検査証明書、健康カードを提示し、唾液を提出する

健康カードを提示し、検査試験管と同じ番号のバーコードを用紙に貼られたうえで、唾液を入れる検査試験管を渡される。選挙用紙を書くときのような仕切りのある場所に立って、試験管に漏斗を挿し、唾液を入れる。正面の仕切りの壁にレモンの写真が貼ってあるのが面白い。これで唾液が促進されるのだろうか?私にはほとんど効果がなかった。試験管に示された量を溜めると、フタを閉め、職員に手渡しする。

次の場所へ移動する。

誓約書を提示し、面談を受ける

誓約書を提示して、そこに書かれている内容を口頭で確認される。データをPCに打ち込んでいるようだった。滞在先への移動手段を聞かれたので、勤め先が用意したハイヤー (タクシーは公共交通機関であることに注意が必要だ) を利用する予定だと答えた。公共交通機関でない移動手段を確保していない場合、何か用意してもらえるのだろうか?分からない。面談後、誓約書は回収された。

「検査結果が出るまで待合エリアでお待ちください」と言われ、待合エリアへと向かう。この最後のルートがとても長かった......。

待合エリアで検査結果を待つ:1時間弱で結果が分かる

指定されたゲートに、検査結果を渡す窓口が用意されていた。その周辺に、検査結果が出た番号を表示するモニターが設置されていた。モニターが見える範囲に座り、日本帰国したらいつも買って飲むことにしているペットボトルの緑茶を飲みながら検査結果を待った。

1時間弱で検査結果を受け取ることができた*3。「CoV2抗原定量判定:唾液:(-)」というシールを健康カードに貼ってもらい、「COVID-19 指定地域滞在歴あり」と書かれたピンク色の紙をもらった。ピンク紙には、検査結果が書かれていない。入国審査へ向かってくださいと言われ、そのとおり向かう。再び長い道のりを歩く。

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検査結果待合場所とモニター。当然だが空港は閑散としている
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陰性の結果とともにもらったピンク紙。複製防止のため指で一部隠している
入国審査は顔認証後に検査結果を確認される

入国審査は、パスポートを伏せての顔認証ゲートを通ったあと、空港職員の方が健康カードに貼られた陰性のシールと番号を照合していた。

預け荷物受け取り後の税関は飛沫防止のビニールシートで覆われていた

検疫で散々確認されていることを知っているからか、税関で問われた内容は平常時と変わりなかった。

社用スーツケースをオフィスに宅急便で送り、ハイヤーに乗る

税関通過後は、平常時と大きな変わりはない。やろうと思えば、そのままモノレールに乗れそうな気もした (自動改札で止められるのかもしれないが)。

社用スーツケースを宅急便で会社に送り、ハイヤーの運転手と落ち合う。ハイヤーの運転手さんはスーツ姿にマスクをしているだけで、以下に書くように感染対策が心配になる。

自主隔離サポート施設到着後の体験記録は、次の記事に書く。

所感:対応してくれる空港職員の感染対策の脆弱さを感じた

対応にあたってくれている空港職員の方々 (とても若い人が多い) はマスクをしているだけである。座っている人はアクリル板が帰国者の間にあるが、立って案内してくれる方々はアクリル板もない。水際対策の最前線に立っている空港職員の感染対策があまりに脆弱ではないか、と私は感じた。私は、彼ら個人個人を責めるつもりは全くもってない。水際対策体制と仕組みの欠陥を嘆いているのである。彼らは空港のレストランで食事をとるだろうし、公共交通機関を用いて通勤もしているだろうと思う。勤務後、手を洗い、顔を洗い、服を着替えて家に帰っていて、自らの身を守り、本末転倒な感染拡大を防止してくれているを願いたい。これは本来、個人に願うことではないのだが。

*1:出航前72時間以内のPCR検査証明書の提出の要請は、3月5日以前から「全ての国または地域」が対象だった。提出できない人への対処方法が強化されたのかもしれない。

*2:平常時と同じく税関の書類も渡され、これも記入した。

*3:出国時も羽田空港で唾液のPCR検査を受けたが、そのときは4時間以上かかったうえに、何より4万円程度の費用がかかった。出国編も書こうと思っている。