書店の平積みを眺めると読書術、多読のすすめ、私はこういう本を読んできた、など読書ハウツー本が多くあります。読書の方法論ばかり読んで肝心の読書をしなくては本末転倒ですが、一つ読むとするならば『読書について』(ショーペンハウアー、鈴木芳子・訳 光文社古典新訳文庫)でしょう。
- 作者: ショーペンハウアー
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2015/09/25
- メディア: Kindle版
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哲学者ショーペンハウアーの『余録と補遺』から
- 『自分の頭で考える』
- 『著述と文体について』
- 『読書について』
の三篇を抜き出して収められています。易しくストレートな日本語で約されていて、とても読みやすいとともにグサリと胸に刺さってきます。
特に『自分の頭で考える』『読書について』は短く、歯に衣着せぬ表現でズバズバ言い放っていて爽快です。
読書するとは、自分でものを考えずに、代わりに他人に考えてもらうことだ。
本を読んでも、自分の血となり肉となることが出来るのは、反芻し、じっくり考えたことだけだ。
私はこの二文に出会って(刺されて)以降、本の読み方を改めました。そして、この文章を書くに当たってもう一度読み直していると、自分の読書のコツを教えてくれたのもこの本だったのだと思い出しました。
重要な本はどれもみな、続けて二度読むべきだ。
私は自分にとって新しい考え方、知識、表現に出会うと必ずピンクの蛍光ペンでマークします。そして、読み終わったあとにそのマーカーの箇所だけ再読します。もう一度すべて読み返すのが良いのでしょうが、"なにしろ人生は短く、時間とエネルギーには限りがあるのだから"、次善の策として自分にはとても合った読書術だと感じています。
次の「悪書」を読む前に、自ら良書であると言っているに等しいこの本を読んでみてはいかがでしょう。『自分の頭で考える』『読書について』の2つなら30分もかかりません。衝撃と引き換えにその後の豊かな読書人生…じゃなかった、自ら考える人生に一歩踏み出せます。しかし、自分の頭で考えることの大事さを読んで納得するのは簡単でも、実践するのはとても難しい。ほんとうに、ショーペンハウアーさんの言うとおりです。
興味をもった方へ、関連情報
哲学に興味をもった方にはまず次の二冊をおすすめします。特に『哲学のモノサシ』(西研)は、一般読者からの質疑応答内容がとても身近で、「なるほどー」と首をふりながらスラスラ読めて楽しいです。
- 作者: 西研,川村易
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 1996/05/01
- メディア: 単行本
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- 作者: 竹田青嗣
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- 発売日: 1993/12/01
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電車で本を読みながらも蛍光ペンをひくためにはこれしかない!ノック式で、キャップを落としたり乾くのを気にしたりする必要なし。ピンク色が、ぱっと目に入ってきて良いです。きれいに線をひこうなんて考えてはだめ。単なる目印なのだから、大胆にひきましょう。
ぺんてる 蛍光ペン ハンディラインS SXNS15-P 10本パック ピンク軸
- 出版社/メーカー: ぺんてる
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